会長挨拶
この度、第19回日本骨盤臓器脱手術学会学術集会を2026年3月6日(金曜日)、7日(土曜日)に兵庫県立淡路夢舞台国際会議場にて開催することになりました。本学会理事長である第一東和会病院 女性泌尿器科 ウロギネコロジーセンターの竹山政美先生と明石市立市民病院 婦人科/ウロギネセンターの草西の二人体制で運営することになりました。
骨盤臓器脱という単一の疾患の手術治療に特化した専門性の高い学会ですが手術の基本は伝統的な経腟手術(NTR)にあるといえます。しかしNTR術後成績への反省から合成メッシュを用いたTVM手術が島田、竹山両先生により2005年に日本に紹介され、TVM手術をいかに安全に合理的に行うか議論する場として本学会がはじまりました。その後米国でのFDAアラート以降経腟メッシュ手術を否定的にとらえる傾向が続いています。しかし骨盤臓器脱の患者の大多数は腟壁が弛緩脱出(膀胱瘤)しており、脱術後の再発もほとんど前方再発(膀胱瘤)です。膀胱瘤(あるいは高度直腸瘤)を根本的に修復するには合成メッシュを利用せざるを得ないのです。さいわいにも国産PTFE製メッシュを使用することが可能な日本では経腟メッシュ手術も学んでいただきたいと思います。
一方では内視鏡機器の発展もありLSC、さらにRASCが脚光を浴びています。経腟手術は術者以外の視野が十分でないことから技術を伝承しがたいのに対して鏡視下手術は画像を共有し技術を学びやすいのは事実です。しかし画面上での鉗子などのデバイスを動かすことだけ習得すれば骨盤臓器脱を理解し手術ができると考えるとしたらおおきな勘違いといえるでしょう。骨盤臓器脱の患者さんの背景は実に多様であり脱出の機序も個々人で異なっています。眼前の患者さんがDeLanceyのどのLevelの損傷であり、Ritchardsonのどのような筋膜破綻により脱出が生じているのかを理解したとき、はじめて患者さんにとって最適な手術を提供できるでしょう。このたびの学術集会がそのような機会を得られる場となることを願います。
春3月上旬の淡路島は花の季節には少し早いですが、海は青く山も風もかがやく美しい森の緑に囲まれた島の会議場です。今回は金曜・土曜の開催です。学会を終え洲本温泉でゆっくりと、あるいは周辺のグルメ、神戸に戻ってジャズレストランなどで楽しむのもよいかもしれません。多数の会員の皆様のご参加をお待ちしております。
2025年4月吉日
第一東和会病院 女性泌尿器科 ウロギネコロジーセンター 竹山 政美
明石市立市民病院 婦人科/ウロギネセンター 草西 洋