第44回日本生理心理学会・日本感情心理学会第34回の合同大会を、2026年4月24日から26日に名古屋大学東山キャンパスにて開催いたします。日本生理心理学会の大会が本学で開催されるのは2016年の第34回大会以来10年ぶり、日本感情心理学会としては2005年の第13回大会以来およそ20年ぶりの開催となります。
大会テーマは「おもしろいことは境界で起こる」です。境界とは、人間や集団、学問領域、概念、さらには時代をも区切り、秩序やまとまりを生み出す一方で、ヒト・モノ・情報が行き交い、相互作用が生じる創造の場でもあります。本大会では、多様な分野の研究者が交差する企画を用意し、参加される皆さまに知的刺激と新たな出会いの機会を提供したいと考えています。
基調講演には、感情科学の世界的権威である Lisa Feldman Barrett 先生をお招きします。Barrett 先生は心理構成主義と呼ばれる感情理論を牽引するとともに、内受容感覚に基づく感情創発のメカニズムやその神経ネットワークについて、国際的議論を先導する研究を展開されています。今回はその最新の知見を紹介いただきます。また、長年 Barrett 先生と共同研究をされてきた Yuta Katsumi 先生に、導入的なレクチャーをお願いしております。
招待講演には、福井県立大学の河部壮一郎先生をお迎えします。河部先生は2025年に新設された福井県立大学恐竜学部教授・福井県立恐竜博物館研究員であり、CTスキャンや3Dモデリングを用いた恐竜の脳形態・機能研究で注目されています。指定討論には、ハトやカラスの知覚・学習研究の第一人者である渡辺茂先生をお招きし、古神経学と心理学とを架橋する議論の場を設けます。
大会シンポジウムには、実行委員会委員長として僭越ながら私も登壇いたします。内臓や体液など身体内部の知覚は従来「内受容感覚」と呼ばれてきましたが、近年では単なる受動的モニタリングではなく、脳が身体を能動的に制御する双方向的過程として理解されつつあります。本シンポジウムでは、この作用を「内受容過程」として捉え直し、動物研究とヒト研究からその探究の可能性を紹介したいと思います。
また本大会では、日本生理心理学会と日本感情心理学会の若手会が合同シンポジウムを開催し、両領域の未来を担う研究者を紹介します。ここから新たな交流や共同研究が芽生えることを期待しています。
名古屋大学東山キャンパスは地下鉄駅に直結し、アクセスも良好です。近年リノベーションが進み、緑と開放感のある環境となりました。多くの皆さまのご参加を、実行委員会一同、心よりお待ち申し上げております。
第44回日本生理心理学会・日本感情心理学会第34回 合同大会
大会長 大平 英樹
